2012年11月1日木曜日

QALY


QALY

 今週の化学療法カンファレンスでは、QALYについて議論しました。
QALYとはQuality Adjusted Life Yearの略です。

「乳腺腫瘍学, 金原出版2012」には「生存年数に健康状態評価値で重み付けをした指標で、健康状態評価値は0が死亡、1が完全な健康と定義された尺度で表される。」と記載されています。

例えば、再発乳癌で抗癌剤治療を続けている患者さんがいるとします。抗癌剤が奏効して5年生存を達成しましたが、とても副作用が強くて健康状態評価値が0.4しかありませんでした。この場合、QALY5×0.42で、2QALYとなります。健康な人の2年と同じでしかないということです。

健康状態評価値の設定をどうするか、難しいところはあるかもしれませんが、医療経済の面からも非常に重要なアウトカム指標だと思います。

1QALY増加に対していくら払うのか?国内の調査では500~600万程度が平均的な支払意志額の閾値だそうです。また、英国のNICEでは1QALY増加のための増分費用が3万ポンドを超えるような薬剤は承認されないことも多いと。

これからの我々はEvidenceScienceを作り、それを理解し、それに基づいた医療を提供する責務があります。そして、例え臨床の最前線にあってもmacro的な視野のもとにcost effectivenessなど社会全体を考えた診療を行うべきだと思います。しかし、それは最低限のラインとしてすべきことであって、それを超えた患者さんのQuality of Lifeと本当のendpointは何かを追求した医療を行うことが、真のtailor-maid therapyであり、それができるチームになろうと皆で固く誓いあいました。