2012年4月27日金曜日

BCIRG006 レビュー


TCHレジメンがいわゆる「公知申請」で認められるもとになった大規模臨床試験。


当院でも適応患者を少しずつ増やしており、レビューする。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0910383



対象:HER2陽性、N(+)もしくはN(-)high risk

N=3222を以下の3群にランダム化。



AC×4DTX×4AC-T) AC60/600mg/m2, DTX100mg/m2

AC×4DTX×4TrAC-TH) AC-TDoseは上と同じ

DTXCarboplatinTr (TCH) DTX 75mg/m2 , carbo AUC6



Primary end point : DFS

Secondary endpoints: OS, 安全性



結果:

AC-TAC-TH 5年のDFSにおいて HR 0.64, P<0.001

AC-TTCH    5年のDFSにおいて HR 0.74 P<0.04



AC-THTCHに関しては、有意差はないがTCHの非劣性を示すようには試験がデザインされておらず、統計学的には ’unpowered’



心毒性に関してはAC-TH群が最も多い (AC-TH n=21, TCH n=4



ハーセプチン含むレジメが有効なのは間違いない。

心毒性のリスクを考慮して、AC-THTCHを選択する。




2012年4月25日水曜日

comedo carcinoma

今週の病理カンファレンスでの症例

面疱癌(comedo carcinoma)
面疱 = にきびのこと。

乳管内進展性の癌巣の中心部に、壊死物質がつまっている。
壊死物質は内腔に面した癌細胞が、変性、壊死になったもの。
マンモグラフィーで石灰化として描出される。
局所再発の予後因子。

2012年4月20日金曜日

手術室勉強会

手術室にて、センチネルリンパ節生検について勉強会をしました。
熱気あふれる会議室
手術室看護師、放射線技師などたくさんの方といっしょに勉強しました。

2012年4月18日水曜日

乳腺エコーカンファレンス

今日は月1回の乳腺エコーカンファレンスでした。

エコー室をささえる女性技師さんとT先生
 約10症例ほど、エコー室の皆さんとともに検討しました。

ハーセプチンによる心毒性

本日の化学療法カンファレンス。
ハーセプチンやアンスラサイクリンによる心毒性についてディスカッションしました。

乳癌学会ガイドラインより

・アンスラサイクリン・・後ろ向きの研究よりうっ血性心不全の頻度約2%
・ハーセプチン・・心機能低下の頻度は、アンスラサイクリンとの併用で多くなる。単剤で数パーセント。

カンファレンスでは、定期的な心機能のフォローの重要性をチーム内で再確認しました。

2012年4月14日土曜日

HER2陽性乳癌に対する術前化学療法試験

Editorials Neoadjuvant Trials of Human Epidermal Growth Factor Receptor 2 Targeting: How Many Drugs Do We Need?
JCO published online on April 9, 2012; DOI:10.1200/JCO.2011.40.9334.
http://jco.ascopubs.org/content/early/2012/04/09/JCO.2011.40.9334.full.pdf+html

Preoperative Chemotherapy Plus Trastuzumab, Lapatinib, or Both in Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Operable Breast Cancer: Results of the Randomized Phase II CHER-LOB Study
JCO JCO.2011.39.0823; published online on April 9, 2012;


↓いくつかの臨床試験がある
NeoALTTO  n=455  P-
NeoSPHERE  n=417  P-
GeparQuinto  n=594  P-
CHER-LOB  n=121  P-
いずれもdual-HER2 targeting therapypCR率高い。

今後結果が待たれる試験
NASBP-B41
ACOSOG Z1041(アンスラとハーセプチン同時と順次を比べる)
CALGB 40601

CHER-LOBではアンスラとハーセプチンを併用しても目立った心毒性はなかった。
・ラパチニブ併用群で下痢が多かった。
・ラパチニブ単独とケモの併用はpCR低い。

・はたして全ての患者にmultiple HER2 targeted agentが必要か?今後は効果を予測するtissue-based studyが重要。
Neo-ALTTOZ1041CALGB40601は研究のため100%のfresh biopsyを行っている。
pCR自体はmeaningful end pointではなく、survival outcomeが大事。(ER陽性ではpCRは重要でない)pCR2倍にすることで得られるBenefitがどれほどあるか不明。過去のStudyでハーセプチン付加による高いpCRoutocmeを改善させているかもしれないが、我々はAdjuvantの大規模試験から得られる再発と生存へのインパクトを重視する必要がある。

2012年4月11日水曜日

肉芽腫性乳腺炎

類上皮肉芽腫を認める。
病理カンファレンスでの検討症例

肉芽腫性乳腺炎

・腫瘤形成する良性疾患。潰瘍や、膿様の浸出液を伴うこともある。
・非授乳期、妊娠可能期の女性に多い。
・原因は不明だが、感染や、妊娠・授乳、薬剤を契機とした自己免疫疾患などが考えられている。
・病理学的には、ラングハンス型巨細胞や異物巨細胞などの細胞や類上皮細胞からなる肉芽腫が目立つ。
・基本的に経過観察。ステロイドが有効とする報告もある。
・乳腺炎、結核等の除外も必要。診断がしばしば難しい。

2012年4月8日日曜日

What does PFS mean for patients?

What does PFS mean for patients?

今月号のJCOより。
Progression-Free Survival: Meaningful or Simply Measurable?
Christopher M. Booth and Elizabeth A. Eisenhauer, NCIC Clinical Trials Group, Queen’s University, Kingston, Ontario, Canada
http://jco.ascopubs.org/content/30/10/1030.full


・癌治療アセスメントのGold Standard=OSとQOLである。しかし、P-Ⅲ試験でOSをend pointにすると大きなサンプルサイズと、長期のフォローアップが必要になる。
だからといって、PFSをOSのサロゲートにしてよいか?
大腸がんと卵巣がんに関しては、PFSをOSのサロゲートにしてもよいかもしれない。ただし、乳がん、前立腺がん、非小細胞肺がんはそのことが示されていない。

・PFSがOSのサロゲートであることが確立されていない癌種でPFSの延長が、QOLや症状緩和につながるというエビデンスはあるか?
ほとんどないのが現状であるが、Sienaらのパニツブマブ vs BSC のエビデンスがひとつある。これによるとprogressionの抑制により、QOLが改善した。ただし本来ならQOLをエンドポイントにして、patient-reported outcome instrumentで測定すればよく、あえて、PFS延長がQOLと症状緩和のサロゲートになるかどうかを評価する必要はない
 
・何故PFS延長がOS改善につながらないのか?以下のように様々な理由が考えられる。
①Tumor burdenが小さい時のprogressionがOSに影響を与えるほどでない。
②統計学的な問題。Studyのパワーの問題。
③PFSの評価にバイアスがある。
④Progressionを抑制した後、癌がむしろaggressive になる。
⑤Post-progression therapyの影響。(クロスオーバーなど)

以上、我々臨床医は今まで以上にPFSをprimary end-pointとすることに厳しい目をむけなければならない

2012年4月5日木曜日

手術室にて

毎週木曜日は、連携している「まさい乳腺クリニック」の患者さんの手術日です。
手術室にて正井先生と
正井先生に直接来ていただいて、手術をお願いしています。

2012年4月4日水曜日

新体制でスタート

4月より神戸市立医療センター中央市民病院乳腺外科が立ち上がりました。
腫瘍内科医など、乳腺チームに新しいメンバーも増えました。これからも、ますますの充実を図っていきます!