2012年9月29日土曜日

Hyogo Breast Cancer Academia


ポートピアホテルでHyogo Breast Cancer Academiaが開催されました。県立がんセンター高尾先生、兵庫医大 三好先生の司会で、我々のグループはBOLERO-2について議論しました。

BOLERO-2試験
内分泌療法抵抗性には、mammalian target of rapamycin (mTOR)の細胞内シグナル活性化が関係している。mTOR阻害剤+内分泌療法の効果をみたP-3試験。

対象:ホルモン陽性の進行再発乳癌。前治療にnon-steroidal AIが投与されている。
標準治療をsteroidal AI(エキセメスタン)として、エキセメスタン+エベロリムスとの比較試験。
エキセメスタン+エベロリムス vs エキセメスタン+プラセボを2:1でランダムに割り付けた。

プライマリーエンドポイント:PFS
セカンダリーエンドポイント:OS,ORR,CBR,QOL

結果:年齢の中央値62
56%に内蔵転移、84%が過去の内分泌療法に感受性を示した。
タモキシフェンが48%、フルベストラント16%、化学療法68%に投与されている。
中間解析のcentral analysisでエベロリムス群のPFS10.6カ月、プラセボ群で4.1カ月
HR 0.36 , 95%CI 0.27-0.47, P<0.0001

エベロリムス群のGrade3-4の副作用:stomatitis 8%, anemia 6%, dyspnea 4%, hyperglycemia 4%, fatigue 4%, pneumonitis 3%など

CYP2D6の影響について。。ノルバデックス



CYP2D6の影響について。。
ノルバデックスとの併用に注意を要する院内採用品目をピックアップしてみました。


ノルバデックス(タモキシフェン)と併用に注意が必要な薬剤一覧表  
院内処方採用薬品(内服)CYP2D6 阻害薬品一覧




J Clin Oncol. 2010 Jun 1;28(16):2768-76. Epub 2010 May 3
Coprescription of tamoxifen and medications that inhibit CYP2D6


相互作用を調べるきっかけは、やはりCYP2D6による代謝を受けるトラマールとノルバデックスを併用した際の影響が話題になったからです。しかし、肝心のその2剤の阻害程度はわかりませんでした。メーカーからの回答は「それぞれの効果が減弱する可能性がある。」。。
また何かわかり次第報告します。
阻害程度の高い、タモキシフェンとパロキセチンの併用はタモキシフェンの作用が減弱する可能性があり、海外での検討試験において乳がんによる死亡リスクの上昇が認められています。

以下詳細です。

タモキシフェンによる治療を行った66歳以上の女性患者で、1種類のSSRIを併用投与されたことのある2,430例を対象に、SSRIがタモキシフェンの効果に及ぼす影響を検討した海外の試験において、乳がんによる死亡リスクは、パロキセチンとの併用期間がタモキシフェン投与期間の25%、50%または75%のとき、それぞれ24%、54%および91%上昇した。
タモキシフェンは、肝で薬物代謝酵素P450CYP2D6の関与を受けて、活性代謝物であるエンドキシフェンに変換されて効果を発揮。このため、CYP2D6を阻害する薬剤との併用により血漿中エンドキシフェン濃度が上昇せず、タモキシフェンの有効性が損なわれる可能性があります。
パロキセチンはCYP2D6阻害作用を示すため、エンドキシフェン濃度が低下し、タモキシフェンの作用が減弱する可能性があり、「使用上の注意」において注意を喚起しています。


2012年9月28日金曜日

ピンクリボン月間

10月はピンクリボン月間です。

各地で乳がん関連の運動が開催され、啓蒙活動が行われています。

神戸でも毎年 ピンクリボンフェスティバルというイベントで

スマイルウォークやシンポジウムが開催されます。

http://www.pinkribbonfestival.jp/event/

シンポジウムは以前参加したことがありますが、

新しい知識を 患者さんの立場から得ながら 患者さんがどんな事を不安に思っているのかを知

り、患者さんのフォローを行うときの参考にしたりします。

今年も 参加できれば 行きたいなぁと思っています。

はがき・インターネットで申し込みができ まだまだ 参加締め切りは間に合うようです。

また、毎年 10月1日は、職場からの帰り道に神戸のポートタワーがピンク色にライトアップされる

のをみることができます。



2012年9月26日水曜日

患者さんのための乳がん診療ガイドライン

WEB版が閲覧できるようになっています。
リンクにも貼り付けました。

http://jbcsfpguideline.jp/

メトロノミック治療について


本日の化学療法カンファレンスではメトロノミック治療について議論しました。

【メトロノミック治療とは?】
・メトロノームのように一定の速度で継続的に投与すること。
・ゆっくり長く効かせ、癌の再増殖を先延ばしにする。
・血管新生を抑える。
・癌細胞と血管内皮細胞の相互作用を阻害
などの効果が期待されている。

 
 【メトロノミック治療で使われる薬剤と問題点】

・経口5-FU剤が乳癌領域では多い。
5-FUの場合、「メトロノミックな投与方法」が良いのは「時間依存性に効果が高い」という5-FUに代表される代謝拮抗薬の特性による。つまり、メトロノミック治療の定義をどう考えるか議論が必要。
・エビデンスがまだ不足している。

 
【新しい臨床試験】

・当院はER陽性、HER2陰性乳癌に対するS-1術後療法P-3試験に参加しています。
StageⅠ~Ⅲまでの浸潤癌の方を対象に、術後内分泌療法5 vs 内分泌療法5年+S-1 1年の効果を確かめる臨床試験です。

メトロノミック治療のリンク↓
この臨床試験のPIである、戸井教授のインタビューです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/data/cancerex/jbcs08-1.pdf
 

2012年9月22日土曜日

牛車腎気丸について  ーASCOのサイトより

先日の乳腺外科医師とのカンファで使用した文献です

http://www.asco.org/ASCOv2/Meetings/Abstracts?&vmview=abst_detail_view&confID=114&abstractID=91194

滋賀医科大学の阿部先生は多くの論文を発表されているようです。
本日引っ張ってきた研究は2012年 Annual Meeting に併せてpublishされたものです。

Docetaxelによる末梢神経障害の予防効果について、VB12と牛車腎気丸(GJG)を比較しています。結果、

末梢神経障害の発症率 GJG群39,9% VB12群88、9%
CTCAE G1,2のAE発症数 GJG群13人 VB12群24人

などとなっており、Docetaxelに牛車腎気丸を併用することは末梢神経障害の予防効果として有益であるとの報告が為されていました。

牛車腎気丸は、含まれる附子の副作用(心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ、悪心等)が気になります。常用量での注意喚起等の報告はありませんが、重篤な副作用として間質性肺炎と肝機能障害もまれですが報告はあります。
もともと高齢者を中心に、腎虚(体力が落ちている)の人に腎気を与える性質があるので、化学療法中の患者に投与するのは問題がないと思いますが、 同様に附子を含む製剤との併用は注意が必要です。

2012年9月17日月曜日

粘液癌

先日はいつもお世話になっている神戸アーバン乳腺クリニックでの定期症例検討会でした。
今回の症例は 「粘液癌」 です。
乳癌の約3%

純型
 -予後良好。
    –Type A , Type Bに分けられる。
   –Type A
    •粘液量が癌巣量より明らかに多いもの。
   –Type B
    •粘液量より癌巣量の方が多いもの。

混合型
   –浸潤性乳管癌と同様の予後。

組織学的にはMLTとの鑑別を要する。

エコー像
   –境界明瞭な限局性腫瘤像
   –内部は等~高エコー
   –後方エコーは増強

2012年9月14日金曜日

外来化学療法センターのひとこま

外来化学療法を支えている、薬剤師の皆さんです。抗癌剤の無菌調剤をはじめ、患者さんへ薬剤指導など、重要な役割を担っていただいております。

2012年9月11日火曜日

Cancer of unknown primary site (CUP)

明日の化学療法カンファレンスは原発不明癌が議題です。簡単にまとめてみました。