Nature Reviews Clinical Oncology (http://www.nature.com/nrc/index.html)に掲載されたイタリアの形成外科医 Jean-Yves Petit氏の記事。
彼らの施設では過去10年間で乳房切除率が23%から28%に増加しているが、これはMRIの普及により微小病変の検出率が上がったことに由来すると思われる。
同施設でnipple-sparig mastectomy(NSM)を受けた934人のうち、観察期間の中央値50ヶ月で104人(11.1%)にイベントあり。
浸潤がんでの5年生存率は95.5%
772人の浸潤がんのうち、乳房内再発率は3.6%、乳頭乳輪内再発は0.8%
非浸潤がんでの乳房内再発は4.9%、乳頭乳輪内再発は2.9%
乳頭乳輪への術中照射を併用した76人には局所再発がなく、彼はその有用性を主張している。
局所再発のリスク因子としては
高グレード、Her2陽性
非浸潤がんでは、45歳未満、ホルモン受容体陰性、高Ki67もリスク因子。
術前に乳頭乳輪への浸潤がないか、MMG、MRIで正確に評価することが重要。
また、術中迅速でのFalse Negativeが8.2%あることも考慮しておくべき。
手術の合併症である、皮弁壊死、乳頭乳輪壊死のリスクとしては皮弁の厚さの他に、大きい乳房や、下垂乳房で挙げられる。
乳頭乳輪直下を剥離するときの厚さは5mm以上がよい。
最新の乳癌診療ガイドラインでの nipple-sparing mastectomy (乳頭乳輪温存乳房切除術)に関する記載はこちら ↓
https://www.jbcsguideline.jp/category/cq/index/cqid/200601
当科でも、術前に造影MRIで正確な広がり診断を行い、形成外科と連携し適応について適宜カンファレンスしています。