ASCO 2012から、GeparTrio StudyにおけるKi67と予後の関係。
術後のKi67を中央解析。(N=1151)
pCR (N=484)
Ki67 low (0-15%, N=488)
Ki67 intermediate (15.1-35%, N=77)
Ki67 high (35.1-100%, N-102)
結果
・小葉癌以外では、術後のKi67 highとそれ以外でDFSとOSに差がある。
*術後のKi67 highは予後不良。DFSでHR 1.64(1.45-1.85),OSでHR1.82 (1.57-2.12)
・Response-guided群とconventional treatment群では術後のKi67には差はなかった。
・最終的なKi67によって高再発リスク群を同定でき、それらにはadditional post-surgical treatmentの必要性がでてくるかもしれない。
*GeparTrio Study 復習
術前化学療法の感受性により薬剤や治療期間を変えることがDFSの延長につながるかどうかを見た試験。
患者: 腫瘍径 T2-T4(腫瘍径4cm以上が6割)、リンパ節転移 N0-3(N+が約半数) (35歳以上で、ER/PgR陽性、N0、Grade1~2といったLow Riskは除外)
デザイン: まず、TACを2サイクル行い、USで効果判定。
NCの場合・・・NX(ナベルビン/ゼローダ)療法に変更する群とそのままTACを計6サイクル行う群にRandomizeする。
CR/PRの場合・・・TACを計8サイクル行う群と、TAC6サイクルで終了する群にRandomize。
*TAC-NAとTAC8サイクルをresponse-guided treatment、TAC6サイクルをconventional treatmentとしている。
結果:
pCR rateはTAC×6 vs TAC-NX, TAC×6 vs TAC×8で差なし。
しかし、DFS、OSともresponse-guided treatment (N=987)がconventional treatment (N=1025)より有意に延長された。(観察期間の中央値は62ヶ月)
DFS : HR 0.71 (95% CI 0.6-0.85) P<0.001
OS: HR 0.79(95% CI 0.63-0.99) P=0.048
サブグループ解析では、Luminal TypeのみDFSに有意差が出ている。(Her2+Non-luminalとTNBCでは治療を変えてもDFSの延長なし)
考察:
Luminal TypeでのResponse-guided treatmentの有効性が示された。それだけ乳癌細胞にHeterogeneityがあるということなのだろう。またpCRが予後の指標にならないことも注意。逆にTNBCでは(この試験の)response-guided treatmentでは予後は変わらない。Host側の悪性度に打ち勝つだけのレジメがまだまだ少ないということなのか。
日本ではTAC療法は一般的ではない。当院での術前化学療法の標準はFEC100×4 →DOC×4 なのでこのエビデンスの外的妥当性を検討する必要がある。