大阪日赤病院の露木先生が主任研究者として発案された研究の結果です。当院や西市民病院の患者さんにもご協力いただきました。現在は次のステップの研究を当院でも行っております。
(ご協力いただいた患者さんには、心よりお礼申し上げます。)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27620884
目的
アブラキサンによる末梢神経障害を予防するための、手術手袋による圧迫療法の有用性を検討した。
方法
260㎎/m2のアブラキサン投与が必要な患者が対象。患者にフィットするサイズよりワンサイズ小さい外科手術用手袋を利き手に2重に装着してもらった(装着時間90分)。
利き手ではない手には何も装着せず、コントロールとして、末梢神経障害(PN)の発症割合を評価した。(評価項目はCTCAE ver4とpatient neurotoxicity questionnaire、各サイクルの初めに評価した)
またサーモグラフィを用いて、圧迫療法直後の指先の温度も測定した。
結果
2013年から2016年までに43人の患者が登録され、42人が評価された。グレード2以上の感覚性末梢神経障害と運動性末梢神経障害は手袋装着側で有意に低下していた。(sensory
neuropathy 21.4 vs. 76.1 %; motor neuropathy 26.2 vs. 57.1 %)
手袋の装着による圧迫に耐えられない患者はいなかった。手袋装着側の手では化学療法前の指先体温が有意に低下していた。
結論
手術手袋による圧迫療法は、指先の微小循環を低下させることで、アブラキサンに起因する末梢神経障害を軽減する可能性がある。